1. 基準で義務化されていない
ベトナムを含む多くの国では、自然換気は建築基準で必須項目として義務化されていない場合があります。

明確な規定がないため、建築家やエンジニアは構造、防火・避難、縦方向の動線、機能性など、法的に義務付けられた要素を優先する傾向があります。

2. モデリングと効果予測が難しい
自然換気は気候条件、風向き、気圧、空間構成に大きく左右されるため、CFD(数値流体力学)や専用ソフトによるシミュレーションなしでは予測が困難です。

基本設計の段階ではデータや時間が限られており、自然換気の分析は「複雑」と見なされ、優先順位が下がりがちです。

3.「確実さ」を求めて機械換気を優先
発注者や設計コンサルタントは、運用の確実性を重視する傾向があり、制御がしやすい機械換気(HVAC)をデフォルトとして選びがちです。

一方、自然換気は自然条件に依存するため、「効果が保証されにくい」「リスクが高い」とみなされることが少なくありません。

4. 知識・経験の不足
多くの建築家やエンジニアは、自然換気に最適化された設計について体系的な教育を受けていない場合があります。

そのため、自然換気は「補助的な要素」として捉えられ、初期段階からの主要な設計要素として扱われないことが多いのです。

5. 基本設計図に表現しづらい
基本設計図では、平面図、立面図、断面図、および簡易的な設備レイアウトが中心であり、微気候や気流の分析までは踏み込まれません。

自然換気は、風の流れの図や通風断面図、シミュレーション結果などの補足資料が必要なため、省略されやすい傾向があります。

自然換気は、空気の質を向上させ、エネルギー消費を削減し、健康的な居住空間を創出するための重要な手段です。しかし、効果的に導入するには、初期設計段階からの精密な分析と綿密なシミュレーションが不可欠です。

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持続可能な建築設計:建築家が知るべき5つの指標

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はじめに世界中でエネルギー基準がますます厳しくなる中、建築家は多様な課題に対応する必要があります。最初のステップは、初期段階からの分析と多分野との連携のために、重要な指標を理解することです。建築物は世界のCO2排出量の39%を占めており、設計業界はデータに基づくエネルギー効率の統合へと進化しています。この変化は、建築家が建物性能の専門家としての役割を担うようになり、高効率かつ健康的な空間の創出を可能にします。以下は、すべての建築家が知っておくべき持続可能な建築設計における重要な5つの指標です。 1. エネルギー使用強度(EUI - kBtu/ft²/年)EUIは、建物の運用に必要な年間エネルギー消費量を示します。統合的な設計によって、運用コストとメンテナンスコストを削減し、空気の質、温熱快適性、自然採光の向上が期待できます。エネルギーシミュレーションを行う際は、設計上のあらゆる決定がEUIにどう影響するかを理解することが重要です。建物構造、窓の割合、受動的・能動的手法、空調負荷などがEUIに大きく関与します。EUIは「年間エネルギー消費量 ÷ 床面積」で算出され、単位はkBtu/ft²/年です。EUIを理解・予測することで、年間のエネルギーコストを見積もることができます。主な構成要素は暖房、冷房、照明、機器、ファン、ポンプ、給湯です。 2. 日照計画 – sDAとASEsDA(空間的昼光自律性):作業面(床から76cm)において、年間の勤務時間(8時~18時)の50%以上にわたり、300ルクス以上の自然光が得られる床面積の割合を示します。ASE(年間日射曝露):年間250時間以上にわたり、直射日光で1000ルクスを超える床面積の割合。過度な日射はグレアや冷房負荷の増加を招く可能性があります。効果的な自然採光設計には、建物形状、材料、内装の色(天井、壁、床)、庇・ルーバー・反射棚などの日射遮蔽装置、隣接建物や植栽などの外的要素も関係します。 3. カーボン排出量(CO2eトン/年)– 埋め込みカーボンと運用カーボン埋め込みカーボン(Embodied Carbon):材料のライフサイクル全体(採掘、製造、輸送、設置、交換、解体、処理)で発生するGHG排出量。運用カーボン(Operational Carbon):建物の運用・維持管理におけるGHG排出(空調、照明などのエネルギー使用を含む)。設計初期段階で評価を行えば、埋め込みカーボンを最大80%削減可能です。パリ協定の目標を達成するには、建築からの排出削減が不可欠です。 4. 屋内水使用強度(WUI - gal/ft²/年)WUIは、1平方フィートあたりの年間飲料水消費量を示します。飲料水使用は地球全体の淡水資源の大部分を占めるため、水利用の効率化は極めて重要です。主な対策は以下の通り:...

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